Pilot Deli System [!Report!] AgraBowl featuring by FURNITURE DESIGN AGRA No.008 01/2006



Clavicle エキシビジョン
ショー
 
「BIRD MAN」バードマン
=鳥人間ファッションショーでおいしい振るコース


 


「BIRD MAN」

まだ肌寒い3月。だが、桜が咲き緑の色も変わったりと自然が明るく色づく季節。またしばらくは重たいコートともさよならし、これからファッション・ヘアメイクもカラフルになり街も気分もにぎやかになるシーズンに先がけて、寒さもふきとばすホットなファッションショーがFURNITURE DESIGN AGRAのカフェスペースAgra Bowlで行われた。
 流行がダイレクトにあらわれるファッション。そのファッションについて学び、デザイン学校在学中の2004年よりたちあげ活動をはじめた、オリジナルファッションブランドclavicle(クラウ゛ィクル)。ブランド名のclavicleとは「鎖骨」の意であり、女性の鎖骨のさりげない美しさをあらわしているという。 企画の鎌塚元夢氏、穂積弘美氏、デザインパターナーの増田加代子氏、イラストレーターの亀岡瑞恵氏の4人のメンバーにより行われた、「BIRD MAN バードマン=鳥人間ファッションショーでおいしい振るコース」今回がclavicleにとって初のコレクションショーになるのだが、普通にファッションショーだけをやるのではなくそこにフードも絡めるという。.....で、生まれたユニークなアイディアが鳥人間ファッションショー!「鳥」をテーマとしたファッションとフードのコラボショーが幕を開けることとなった。

OPENの18:30会場入りが始まりチケット片手にたくさんの人が入ってくる。さすがに学生が多い。やはり学校の仲間がやるショーであり、またこれからこの世界へ進んでいく彼らにとっては興味あふれるイベントなのだろう。普段は家具や雑貨がならぶ店内もこの日は何も置かず、空間と人だけという見慣れない光景がひろがっていた。START19:00より少し時間を押してしまったが、鳥の鳴き声とプロジェクターで映し出された亀岡氏によるBIRD MANのロゴとイラストと共についにショーがはじまった。鳥のさえずり声の後、おもわず手拍子をしたくなるでテンポのよいリズミカルなサウンドとウォームカラーのライトの光りに包まれて登場した鳥人間。頭からスッポリかぶるタイプの着ぐるみから出る、モデルの華奢な脚がさらに鳥らしさを表現している。黒地に白でペイントされたそのデザインが、鳥の顔なのにちょっぴり民族っぽさも感じられるclavicleならではのアイディアが光る鳥人間であった。
 最初に登場した1羽の、いや1人の?鳥人間が、ブラックの鳥カゴをのせたテーブルをガラガラと押して歩く。この鳥の歩いているコースは、後ほどコレクションショーのときにモデルがウォーキングをするコースでもあるのだが、よぉ〜く足下を見てみると.....鳥の足跡が!床にペタペタと貼られているブラックのカッティングシートでつくられた足跡が、鳥とモデルが歩く道しるべになっているのだ。これも彼らのアイディアである。
さて、登場した鳥人間がプロジェクターにより投影されたスライドの前にたつ。気になる鳥カゴの中に入っているものは、この日のメニューである「振るコース」。「フルコース」ならぬ「振るコース」。その名の通り振っていただくメニューになっているのだが、順番に鳥人間が卵を産み落とすユニークなパフォーマンスまじりで登場し、4つのメニューの食し方を披露する。前菜の「鳥の巣サラダ」からはじまり副菜、主食、デザートの
「もうひとふんばり」まで完成させるというものなのだが、演出としてスライドのキュートなイラストにあわせてダンスをしたり、ひらめいたり、ケンカしたり、仲直りしたり...。そして最後には鳥が巣から飛び立っていくという短い中にも物語の入ったショーで楽しませてくれた。そして、鳥人間たちがいなくなりさっきまでのポップなムードから一変。会場全体はブルーの光りに包まれ、しっとりとクールなサウンドが流れる。ここからはじまるのはclavicleのコレクションショー。モデルが彼らのコレクションに身を包みあらわれたときには一瞬にしてカメラのフラッシュの嵐となったが、そのフラッシュに屈することなくモデル1人1人がゆっくりと均一の歩幅でウォーキングをし、メインのスポットでポーズをとる。次々と登場するジャケット・カットソー・ワンピースなどはブラック、ホワイト、グレーを基調としたシンプルでもインパクトのあるデザインとなっておりまた、頬から鼻にかけての鳥の足跡のメイクなどにも「鳥」のこだわりがみられた。ナチュラルでも上品な華やかさをもち、ディティールまで気のくばったクラシックなスタイルは内面から出る女性の強さ・魅力が引き出され、トータル的にクオリティの高い仕上がりを感じたショーだった。
 フィナーレではメンバー4人が登場し、拍手に包まれながらコレクションショーは終了した。拍手が鳴り終わってもまだ少し余韻の残る中、またムードをガラッと切り替えて今度は「振るコース」モードに。
 

今回のメニューは、立っても食べられるようにと持ち歩きのできるテイクアウト風のパッケージで用意された。4つの紙コップの中にはそれぞれ前菜、副菜、主食、デザートが入っている。鎌塚氏と彼の知り合いである板前さんとの試行錯誤を重ね完成された4品のメニューだ。
 まずは前菜の「鳥の巣サラダ」。千切りにしたレタスをベースにフライドポテトの千切りがのせられ、さらにゆで卵を切った断面のように
白味と黄味がトッピングされている。まさにネーミングの通り、フサフサの巣に卵が大事に置かれている感じが出ている。このさりげなくのせられている卵。実は白味と黄味を分けて炒り、この2つを再び卵のようにトッピングしたものだという細かい手のこんだサラダとなっていた。が!一緒に添えられていたイタリアンドレッシングをバァーッとかけ、透明なフタをしてからさっきの鳥人間を真似ておもいっきりシェイク!振っているときに手に当たる感触でどれだけコップの中がぐちゃぐちゃになっているのかが伝わってくるが、もう何も考えずにとにかく振る。そろそろかな?というところでフタを開けてみると、みごとな混ざり具合で完成されたサラダがお目見え。シャキシャキレタスと香ばしいポテト、ほぐされた卵、それにからむイタリアンドレッシングによりサッパリとしておいしい前菜となっていた。
  さて、お次は副菜の「わたしのお肉」。なんて食べづらい.......いかにもなネーミング。コップを覗いてみるとやはりいたのは真っ赤なチキンが2つ!だけだと聞こえは悪いが、トマトのカオリがただよう食欲がそそられるメニューだ。このチキン、手羽元を1つ1つチューリップ形にするという大変な作業からはじまり、その後片栗粉と小麦粉を半々に混ぜたものをまぶして揚げる。この半々なのがカリッとなるミソらしい。そして揚げられたチキンをトマトソースにからめる。食べたときに少し冷めてしまっていたのが難点かとも思ったが、それでもしかっりとした味付け・トマトの風味・ほどよいやわらかさとおいしく仕上がっていた。
 さてさて、今度は主食の「わたしのたまご」。コップの中にはスープが入っているが、たまごはどこへ?スプーンを入れてみると下にまるいものが!振りたいところだがスープが飛び出してしまうので、気持ち振りつつスプーンで混ぜてみると具沢山のスープゴハンに変身した。この主食は、まず炊きたてのゴハンとベーコン・タマネギ・ニンジン・コーンをバターで炒めピラフにする。それを鳥の卵のように握りととのえ、コップに入れたら上からコンソメ味のスープあんかけをかけてできあがりというものだ。口に入れるとバターの香りに包まれるボリュームあるおいしいメニューだった。
 そしてラストのデザート「もうひとふんばり」。コップの中には、2つのトリュフが入っているがそれと一緒にみどりの粉も入っている。とりあえず、透明のフタをしてネーミングの通りにおもいっきりかんばって振ってみた。すると、フタを通して見える2つのトリュフがどんどんグリーンに変わっていく。ささやかな感動につつまれながら食べてみると、抹茶パウダーがまぶされたトリュフになっていた。これは、ビターチョコレートにホワイトチョコレートをコーキングした2つのトリュフを振ることで違った味が楽しめるというビックリデザートだった。

 「振る」ということでどれもおいしくたのしくいただけるこのメニューをみんなで味わう中、ショーに登場した鳥人間の着ぐるみ、コレクションが会場にディスプレイされた。写真を撮る人、コレクションを間近でじっくりと見る人、メンバーと話をする人とそれぞれに時間を過ごす。そして、ここまで楽しませてくれた彼らからイベントへ来た人全員に、手作りの「おみあげストラップ」もわたされた。ブラックとホワイトの2羽の鳥のシルエットが重なりあったキュートなストラップ。フェルトのやさしくあたたかい素材感もかんじられるうれしいおみあげは、みんなの心をさらに満足させるものとなっていた。企画からはじまり、フードメニューの考案・調理、コレクションの制作、イラスト制作など短期間にさまざまな作業に追われるハードスケジュールも、メンバー1人1人が役割を果たしやり遂げたファッション×フードというプロジェクト。卒業も間近にせまる中行われた今回のエキシビジョンは、学生生活の終結ともいえるイベントになったのだ。
 独自性のスタイルをもつclavicleのデザイン。ファッションという世界のプロを目指す彼らの奥に秘める可能性、そしてこれからの活躍に期待したい。

Clavicle クラヴィクル
2004年スタート。
2005年10月 現在の鎌塚 元夢、穂積 弘美、増田 加代子、
亀岡 瑞恵の4人構成となり、本格始動。
ブランド名のclavicleは、鎖骨の意味で、
女性の鎖骨のさりげない美しさを表している。
今後も不定期で、イベント開催予定。今回が初のショーとなる。
HP上でも作品公開予定。受注生産も行います。
詳細は、key0611jp@yahoo.co.jp


Pilot Deli System
クールな大人のキュートな生活を提案するFURNITURE DESIGN AGRAのカフェスペース Agra Bowl は、
パイロットデリシステムをはじめま した。 食にかかわる方たちの真剣な取組みを発表するショーケースです。
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